Windows 環境で Clash Verge Rev を使用している際、「ブラウザではプロキシが効いているのに、Microsoft Store アプリやオンラインゲーム、コマンドプロンプト(CMD)などでプロキシが適用されない」という問題に直面したことはありませんか?これは、多くのアプリケーションがシステムの HTTP プロキシ設定を無視するように設計されているためです。この問題を根本的に解決するのが TUN モード です。
TUN モードは、仮想ネットワークアダプターを作成し、OS レベルで全てのトラフィックをキャプチャして Clash カーネルに転送します。これにより、個別のアプリ設定を行うことなく、PC 全体の通信をプロキシ経由にすることが可能になります。本記事では、2026年現在の最新版 Clash Verge Rev を使用して、Windows 10/11 で TUN モードを正しく構築する手順を詳しく解説します。
なぜ TUN モードが必要なのか?
通常の HTTP プロキシ(システムプロキシ)モードでは、アプリケーション側が「プロキシを使用する」という明示的な命令を持っていない限り、通信はプロキシをバイパスしてしまいます。特に以下のケースで TUN モードは威力を発揮します:
- オンラインゲーム: ほとんどのゲームは UDP 通信を使用し、HTTP プロキシを完全に無視します。TUN モードならゲームのラグ解消や地域制限解除が可能です。
- Microsoft Store アプリ: UWP アプリケーション(メール、Xbox アプリなど)はネットワーク分離制限があり、通常のプロキシでは通信できません。
- 開発ツール: Git、Docker、npm などの CLI ツールは個別のプロキシ設定が煩雑ですが、TUN モードなら一括で解決します。
- システム全体の VPN 化: PC 全体を VPN に接続しているような感覚で使用でき、設定漏れによる IP 漏洩を防げます。
設定前の準備事項
設定を開始する前に、以下の条件を満たしているか確認してください。
- Clash Verge Rev のインストール: 最新バージョン(v1.6.0 以上推奨)がインストールされていること。
- 管理者権限: 仮想ネットワークカードをインストールするため、Windows の管理者アカウントが必要です。
- カーネルの確認: 設定の「Kernel」項目で
Mihomo(旧 Meta) カーネルが選択されていることを確認してください。標準の Clash カーネルよりも TUN モードの安定性が高いです。
TUN モードの有効化手順
1. サービスモード(Service Mode)のインストール
Clash Verge Rev で TUN モードを安定して動作させるには、まず「サービスモード」をインストールする必要があります。これにより、Clash が高い権限でネットワークスタックを操作できるようになります。
- 左側のメニューから 「Settings(設定)」 をクリックします。
- 「Service Mode(サービスモード)」 の項目を探し、右側の
ManageまたはInstallボタンをクリックします。 - ポップアップが表示されたら
Installを選択し、Windows の UAC 警告で「はい」をクリックします。 - 成功すると、アイコンが緑色に変わり
Activeと表示されます。
2. TUN モード設定の構成
次に、TUN モード自体の動作パラメータを設定します。デフォルト設定でも動作しますが、最適化を行うことでパフォーマンスが向上します。
同じく「Settings」画面で 「Tun Mode Stack」 を選択します。2026年現在、以下の選択肢が一般的です:
| スタック名 | 特徴 | 推奨度 |
|---|---|---|
| gvisor | Google 製。最も安定しており、互換性が高い。 | ⭐⭐⭐⭐⭐ |
| system | OS 標準のスタックを使用。軽量だが環境に依存する。 | ⭐⭐⭐⭐ |
| mixed | 複数の手法を組み合わせる。高度なユーザー向け。 | ⭐⭐⭐ |
3. スイッチをオンにする
準備が整ったら、メイン画面または設定画面にある 「Tun Mode」 のスイッチをオンに切り替えます。初回起動時には仮想アダプターの設定が行われるため、数秒間のネットワーク切断が発生する場合があります。
推奨される YAML 設定テンプレート
より詳細な制御が必要な場合は、プロファイル(Profile)の「Merge」機能を使用して、以下の設定を注入することをお勧めします。これにより、DNS 汚染を防ぎ、TUN モードのパフォーマンスを最大化できます。
tun:
enable: true
stack: gvisor
dns-hierarchical: true
auto-route: true
auto-detect-interface: true
platform: windows
dns:
enable: true
ipv6: false
enhanced-mode: fake-ip
fake-ip-range: 198.18.0.1/16
nameserver:
- 8.8.8.8
- 1.1.1.1
- https://dns.google/dns-query
よくある質問とトラブルシューティング
Q1: TUN モードをオンにするとインターネットに繋がらなくなる
これは多くの場合、DNS の競合 が原因です。Clash の DNS 設定が有効になっているか確認してください。また、他の VPN ソフト(WireGuard や Tailscale など)が同時に動作している場合、ルートの衝突が発生します。他のネットワークツールを終了してから再度試してください。
Q2: 特定のローカルデバイス(プリンターなど)にアクセスできない
TUN モードは全ての通信をプロキシに送ろうとするため、ローカル通信までキャプチャしてしまうことがあります。設定の bypass-lan または skip-proxy リストに、ローカル IP アドレス範囲(例: 192.168.0.0/16)が含まれていることを確認してください。
Q3: 速度が極端に遅い
TUN モードの stack を system から gvisor に、あるいはその逆に変更してみてください。また、Windows の「ネットワーク接続」から作成された仮想アダプター(通常は Clash という名前)のプロパティを開き、IPv6 が悪影響を与えていないか確認するために IPv6 をオフにしてみるのも有効です。
まとめ
Clash Verge Rev の TUN モードは、Windows ユーザーにとって「最強のプロキシ体験」を提供する機能です。設定には管理者権限やサービスモードのインストールといったいくつかのステップが必要ですが、一度構築してしまえば、ブラウザ、ゲーム、各種アプリの区別なく、シームレスに高速なグローバルネットワークを利用できるようになります。2026年のインターネット環境において、プライバシー保護と自由なアクセスを両立させるために、ぜひこのガイドを参考に TUN モードを活用してください。