ClashX Proを起動したのに、ブラウザやアプリの通信経路が変わらない場合、プロキシノードではなくmacOSのシステムプロキシ設定が無効になっている可能性があります。ClashX Proはメニューバーから簡単にプロキシを切り替えられますが、アプリの通信方式やmacOSのネットワークサービスによっては手動確認が必要です。この記事では、ClashX Proの基本設定、macOS側での確認方法、ルールモードによる自動切替、接続できない場合の切り分けまでを順番に説明します。
ClashX Proの基本動作を理解する
ClashX Proには、プロキシサーバーへ接続する機能と、Mac上のアプリにプロキシを使用させる機能があります。この2つは同じではありません。ノードのテストに成功していても、システムプロキシが無効ならSafari、Chrome、curlなどの通信は通常のネットワークから直接送信されます。
ClashX Proを起動すると、通常はmacOSのメニューバーにClashのアイコンが表示されます。アイコンをクリックして現在のプロファイル、プロキシグループ、モードを確認してください。プロファイルが読み込まれていない場合、プロキシグループにノードが表示されなかったり、システムプロキシを有効にしても接続先が存在しなかったりします。
| 項目 | 役割 | 確認する場所 |
|---|---|---|
| プロファイル | ノード、ルール、ポートを定義 | ClashX Proのプロファイルメニュー |
| プロキシグループ | 使用するノードや自動選択を決定 | Proxyメニュー |
| システムプロキシ | macOS対応アプリの通信をClashへ転送 | Set as System Proxy |
| モード | 通信をルール、全体、直接のどれで処理するか決定 | Modeメニュー |
また、システムプロキシは万能ではありません。SafariやChromeなどの標準的なHTTP/HTTPS通信は対象になりますが、独自のネットワークエンジンを使用するアプリ、QUICを優先するアプリ、プロキシ設定を無視するゲームや開発ツールは、別途TUNモードやアプリ内設定が必要になることがあります。
メニューバーからシステムプロキシを有効化
最も簡単な設定方法は、ClashX Proのメニューバーからシステムプロキシを有効にすることです。macOSのバージョンによってメニュー名が少し異なる場合がありますが、基本的な流れは共通しています。
- ClashX Proを起動し、メニューバーのClashアイコンをクリックします。
- 使用するプロファイルが読み込まれていることを確認します。
- Proxyまたはプロキシグループから、利用可能なノードを選択します。
- Set as System Proxyをクリックしてチェックを入れます。
- Modeで、通常はRule、検証時はGlobalを選択します。
- SafariやChromeを開き、外部IPまたは対象サイトへの接続を確認します。
Ruleモードでは、設定ファイルのルールに従ってドメインごとにProxy、DIRECTなどを振り分けます。日常利用ではこのモードが最も扱いやすいでしょう。Globalモードでは、原則として選択中のプロキシグループへ通信を送るため、システムプロキシが実際に機能しているかを確認するテストに向いています。Directモードではプロキシを使用しないため、設定確認中に誤って選ばないよう注意してください。
macOSのネットワーク設定を手動確認
ClashX Proのボタンを押しても設定が反映されない場合は、macOSのネットワーク設定を直接確認します。macOS Ventura以降ではシステム設定 → ネットワークを開き、現在接続しているWi-FiまたはEthernetを選択して詳細...をクリックします。古いmacOSではシステム環境設定 → ネットワークから同じ項目を開けます。
詳細画面のプロキシまたはProxiesを選択し、ClashX Proが待ち受けているHTTPプロキシとHTTPSプロキシを確認します。一般的なHTTPポートは7890ですが、実際のポートはプロファイルやClashX Proの設定によって異なります。ClashX Proのポート表示と一致していることが重要です。
| 設定項目 | 一般的な値 | 注意点 |
|---|---|---|
| Webプロキシ(HTTP) | 127.0.0.1 : 7890 | HTTP通信の転送先 |
| 保護されたWebプロキシ(HTTPS) | 127.0.0.1 : 7890 | HTTPS通信でも同じポートを使う構成が多い |
| SOCKSプロキシ | 127.0.0.1 : 7891 | アプリがSOCKSに対応している場合のみ使用 |
| プロキシ設定を使用しないホスト | localhost, 127.0.0.1 | ローカル通信を除外するための項目 |
HTTPプロキシとHTTPSプロキシの片方だけが有効になっていると、HTTPサイトは開けるのにHTTPSサイトだけ失敗することがあります。設定を変更した後は「適用」をクリックし、ブラウザを一度終了してから再起動してください。なお、ClashX Proでシステムプロキシをオフにすると、ここで設定した項目も自動的に解除される場合があります。
ルールモードで通信を自動切替
毎回サイトごとに手動でプロキシを切り替える必要はありません。ClashX ProのRuleモードを使用すると、ドメイン、IP、国別情報などのルールに基づいて、通信を自動的にProxyまたはDIRECTへ振り分けられます。たとえば、通常の国内サービスは直接接続し、特定の海外サービスだけをプロキシ経由にする構成が可能です。
ルールは上から順に評価され、最初に一致したルールが適用されます。そのため、特定ドメインの例外を広いルールより前に置く必要があります。最後には、どのルールにも一致しなかった通信を処理するためのMATCHルールを記述します。
rules: - DOMAIN-SUFFIX,example.local,DIRECT - DOMAIN-SUFFIX,github.com,Proxy - DOMAIN-KEYWORD,openai,Proxy - GEOIP,LAN,DIRECT - MATCH,Proxy
ここでProxyは、設定ファイル内に定義されたプロキシグループ名と一致していなければなりません。グループ名がProxyではなく自動選択や手動切替になっている場合、ルール側も同じ名前に変更します。名前の不一致は、システムプロキシが有効なのに通信が期待どおりに切り替わらない代表的な原因です。
自動選択グループを使う
複数のノードを登録している場合は、url-testやfallbackのプロキシグループを利用できます。url-testは定期的にテストURLへ接続し、応答の速いノードを選びます。fallbackはリストの先頭を優先し、障害が発生した場合に次のノードへ切り替えます。
proxy-groups: - name: Auto-Select type: url-test proxies: - node-jp - node-us - node-sg url: https://www.gstatic.com/generate_204 interval: 300 tolerance: 50
このグループをルールの転送先に指定すれば、ユーザーが毎回ノードを選択しなくても、Clashが候補の中から比較的安定した接続先を選択します。ただし、レイテンシが低いノードが常に実際の閲覧速度で最速とは限りません。動画、長時間接続、アップロードでは帯域幅や混雑状況も影響するため、必要に応じて手動選択と比較してください。
接続できないときの診断手順
設定後も通信が変わらない場合は、複数の項目を一度に変更せず、次の順番で確認すると原因を絞り込みやすくなります。
- ClashX Proが起動しており、メニューバーアイコンが表示されているか確認します。
- プロファイルが正常に読み込まれ、プロキシグループに利用可能なノードがあるか確認します。
- ノードの遅延テストを実行し、タイムアウトやTLSエラーがないか確認します。
- Set as System Proxyを一度オフにしてから、再度オンにします。
- 検証中だけGlobalモードに変更し、Ruleモード固有の問題を切り分けます。
- macOSのHTTP・HTTPSプロキシのホストとポートがClashX Proの待受ポートと一致しているか確認します。
- ブラウザの拡張機能、別のVPN、会社や学校のプロキシ設定が競合していないか確認します。
ブラウザだけが接続できない場合は、ブラウザの独自プロキシ設定、DNS over HTTPS、拡張機能を確認します。ターミナルから次のようなコマンドを実行すると、macOSのシステムプロキシを経由しているかを簡単に検証できます。
scutil --proxy curl -I https://example.com curl --proxy http://127.0.0.1:7890 https://example.com
scutil --proxyの結果でHTTPEnableやHTTPSEnableが無効になっている場合、システムプロキシは有効ではありません。ClashX Proを経由した明示的なcurlだけが成功する場合は、Clash自体は動作しているものの、macOS側の自動設定が反映されていない状態です。一方、明示的なcurlも失敗するなら、待受ポート、ノード、プロファイル、ファイアウォールを確認します。
skip-cert-verifyを安易に有効化して証明書エラーを隠すのではなく、まずノードのサーバー名、SNI、システム時刻を確認してください。安全で使いやすい運用方法
普段使いでは、ClashX Proをログイン時に自動起動し、必要なプロファイルを読み込んだ状態で使用すると便利です。ただし、公共Wi-Fiや社内ネットワークでは、組織の利用規約や認証方式を確認してください。システムプロキシを有効にしたままClashX Proを終了すると、Macに無効なローカルプロキシが残り、通信できなくなることがあります。終了前にSet as System Proxyをオフにする習慣をつけると安全です。
また、プロキシ経由にしたくないローカルアドレスには、localhost、127.0.0.1、社内ドメイン、プリンターやNASのアドレスを除外します。Ruleモードを基本にし、Globalモードは動作確認や一時的な用途に限定するのが現実的です。自動ノード選択を使う場合も、定期的にログと接続速度を確認し、不要なノードや期限切れのサブスクリプションを整理してください。
ClashX Proの設定で重要なのは、ノードが利用可能であること、システムプロキシが有効であること、そしてルールの転送先グループが正しく指定されていることです。この3点を分けて確認すれば、「起動しているのに通信が変わらない」という問題の多くを短時間で解決できます。まずGlobalモードと明示的なcurlで経路を確認し、その後Ruleモードと自動選択へ戻す手順が、macOSで最も再現性の高いチェック方法です。
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